世界を壊す金融資本主義



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資本主義の行く末は?

フランスで議論を巻き起こしたアメリカ型資本主義への警告の書、だそうです。
なかなか難しい本ですが、この一冊で今の世界の金融市場はどのような事になっているのかがよくわかります。
そして、グローバル化、年金基金やファンドマネージャーが市場で力を握っていることなどを上げ、従来の資本主義の行き詰まりを唱えています。

内容を少し書くと、以下の5章に分かれます。

1章 ドイツ型資本主義モデルの終焉
ドイツ型の間接金融や、護送船団方式は消えてなくなってしまった。

2章 株主が握る力、その理論と実践
大企業の経営者は、儲けさせろと要求する株主全員のために働く奴隷に過ぎない。

3章 株主とは何者か
巨大機関投資家によって、Voice or Exitは崩壊している。

4章 市場と経済成長
先進国国家は株主資本主義を前にして退却せざるを得なくなってしまった。

5章 何をすべきか。
どんな国、どんな仕事をしていようと金融資本主義の波は襲ってくる。

社会主義のモデルが失敗した以上、現状の経済に関しては資本主義しかないですが、それに変わる新たな方法は出てくるんでしょうか。
コンパクトだが中身の濃い本

今の世の中に特徴的な金融至上資本主義や
グローバリズム、ファンドの台頭などに対して、なんとなく
居心地の悪さを感じていたのだが、この本を読むと
なぜ居心地の悪さを感じていたのかがわかり、
なんとなくすっきりとした感じがする。

経済や金融をおもに扱っている本であるが、現在の格差社会を
考えるうえでも貴重なデータが扱われていたり、
あるいは内田樹氏の『下流志向』のなかでは、労働主体と
消費主体という対比がなされていたが、この本では
消費者と生活者という対比から、われわれが生きていくうえで
本当に大切なものは何かを考えさせてくれる。

また、間接金融から直接金融といった今までの流れ(その
危うさを含め)もうまくまとめられており、そして、たんなる
現状の批判にとどまらず、立ち向かうための方策を真摯に検討
している点も評価できる。

金融業界で働くひとはもちろん、経済をまなぶ人、あるいは
株に興味のあるひとにも有益だと思う。






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